上場株式の時価が純資産価額よりも低い場合の処理 〔税研より〕
[平成27年4月1日現在法令等]
Q. 質問
当社A社は、上場会社B社に吸収合併されることになりましたが、適格合併の条件に合わない点があって非適格合併となります。 ところで、上場株式Bの時価は1株100円ですが、A社の純資産価額の評価額は150円となります。つまり、被合併法人の純資産価額は15,000万円ですが、その帳簿価額は12,000万円となっているので、被合併法人においては、非適格合併によって3,000万円の譲渡益が生ずることになります。この場合に、合併法人としては、時価相当額で10,000万円相当分の株式を発行することになり、被合併法人からの受入価額は15,000万円で引き受けざるを得ないことになりますが、発行価額10,000万円との差額5,000万円は合併法人においても課税されることになるのでしょうか。被合併法人、合併法人の双方に課税されるのは納得できません。 また、本件と法人税法第62条の8の調整勘定との関係は、どのようになりますか。
A. 回答
本事例は、非適格合併に該当するので被合併法人においては含み益があれば、譲渡益に対して課税されることになります。 問題は、純資産価額よりも合併法人の株式の時価が下回っていることです。通常であれば、純資産価額と時価とが一致していますが、上場株式の場合には、純資産価額が時価の決定的要素となりません。 結果としては、被合併法人の株主の立場からは、高い純資産価額で資産を合併法人に提供して時価の低い合併法人の株式を受けることになります。 合併法人としては、被合併法人から時価での純資産を受け入れ、株主にはその時価よりも低い価額で株式を交付することになる。この低い部分(差額)は資本金等の額として処理すべきことになります。これは、要するに、合併比率の問題となると解すべきです。 なお、本件と法人税法第62条の8のいわゆる調整勘定の規定とは関係がありません。同規定は、合併法人の被合併法人からの受入価額が時価を超えているような場合(のれんの計上等)に適用される規定であり、本件は、その受入価額は時価を超えていないので、同条の規定の適用はありません。 【解説】「税研」Vol.23‐No,3(136号)2007.11 50~52頁 参照
参考条文等
法人税法 第62条の8
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