棚卸資産の評価方法の見直しの問題点 〔税研より〕
[平成26年8月1日現在法令等]
Q. 質問
平成23年の法人税法の改正においては、棚卸資産についての切放し低価法が廃止されました。この点についていかなる理由によって廃止されたのか、また、たとえば、前期末において1,000の評価について300の低価法による部分があった場合に、この300はいつの事業年度において、いわば取り戻されるのか等についてご教示下さい。
A. 回答
切放し低価法を廃止した理由としては、一言でいえば、「過度に保守的な処理であり問題があるとして「法人課税小委員会報告」(平成8年11月税制調査会)においても指摘がされたところです。このようなことも踏まえ、今般の改正において、課税の適正化の観点から、廃止することとされたものです。」とされているところです。この点については若干問題の存するところです。
次に、切放し低価法については、適用事業年度の前期末においては、その切放し低価法は採用できることになります。つまり、原価法の棚卸評価方法によって1,000であるものが、低価法の適用によって700となれば、その700が期末評価額となります。そして、翌期首は、この700で出発することになります。 したがって、以上の意味からは、直接この300を当該適用事業年度において取り戻すことにはなりません。要は、その後の棚卸資産の状況によって取戻しの効果が及ぶことになります。
【解説】「税研」Vol.27‐No.4(161号) 2012.1 49~50頁 参照
参考条文等
平成23年税制改正の附則(平23政196)第5条
「改正税法のすべて」290頁
相談事例Q&A TOPへ
法人税一覧へ
<税務相談室>
共催:日本税理士会連合会、公益財団法人日本税務研究センター
支援:全国税理士共栄会
<相談事例登載>
ホームページ運営:公益財団法人日本税務研究センター
ホームページ支援:日本税理士共済会