投資事業有限責任組合の損益の税務上の取扱い
[平成26年10月1日現在法令等]
Q. 質問
投資事業有限責任組合からの財務諸表と会計報告書が届きましたが、その数値は法人の会計にどう反映させたらいいですか。また消費税はどうなりますか。
A. 回答
1.概要
投資事業有限責任組合は民法に規定する任意組合の1つで「投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基づいて成立する組合であり、組合は法人格を有せずそれ自体納税義務の主体となりません。したがって組合の財産は組合員の共有となります。
2.組合事業損益の帰属
この組合契約に基づいて営まれる事業の損益は組合員の分配割合に応じて直接各組合員に帰属することとしています。ただし、一定の損失(組合損失超過額)についてはその事業年度の損金の額に算入されず、繰り越して翌期以降の配分された益金の額から控除します。
3.損益の帰属時期
分配された損益の帰属時期は、法人の各事業年度の期間に対応する組合事業に係る個々の損益を計算して当該法人の当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとなりますが、一定の場合には、その組合の計算期間の終了する日の属する当該法人の事業年度の益金の額又は損金の額に算入するものとしています。
4.分配された損益の計算
下記の3方法があり、基本的には(1)総額方式により計算することとしていますが、継続適用を条件に(2)中間方式及び(3)純額方式も認められています。
(1)総額方式…組合事業の収入金額、支出金額、資産負債等の自己の分配割合相当額を自己の金額と認識して処理するもの。
(2)中間方式…組合事業の収入金額、原価の額及び費用の額並びに損失の額の自己の分配割合相当額を自己の金額と認識して処理するもの。したがって資産を基準とする引当金、準備金等の適用ができません。
(3)純額方式…組合事業の利益の額又は損失の額の自己の分配割合相当額を自己の金額と認識して処理するもの。したがって受取配当益金不算入、所得税控除、引当金、準備金等の適用ができません。
5.消費税
共同事業として資産の譲渡等を行った時に、各組合員が資産の譲渡等を行ったこととなりますが、組合の計算期間が1年以内の場合の場合には、その計算期間の終了する日の属する各組合員の事業年度において、資産の譲渡、課税仕入れを行ったものとして取り扱うことが認められています。
また、納税義務の判定については個々の組合員において他の事業と合わせて判断することとなります。
参考条文等
法人税法基本通達 14-1-1、14-1-1の2、14-1-2
消費税法基本通達 1-3-1、9-1-28
租税特別措置法 第67条の13
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