パワハラ被害に対する解決金の税務上の取扱い 〔税研より〕
[平成28年12月1日現在法令等]
Q. 質問
当社及び管理職Aは、昨年、いわゆるパワハラの問題で元従業員から訴えられました。
当社としましては、早期解決を図るべく協議を継続して参りましたが、この度、相手方との和解が成立いたしました。
この和解に基づき一定の解決金を支払いますが、Aは、当事者ですので、当然に、応分の負担をすべきものと考えます。しかしながら、Aは、いったんは和解内容及び解決金の負担についても了承したものの、パワハラの事実関係について本人の思うところもあり、現在では、この負担を拒絶する姿勢を示しています。このような場合に、解決金について、当社が、その全額を負担することとなりますと、当社の損金算入及びAに対する経済的利益の供与の問題になるのではないかと心配しております。
なお、Aはこの一件を含めて種々問題があることから依願退職を申し出ており、Aに対する退職金の一部を天引きする形で、和解金について負担させようとも考えております。この場合に、税務上、何か問題がありますか。
A. 回答
法人自らが負担すべき解決金は損金算入が認められますが、他者が負担すべき解決金について、法人が負担した場合には、これは立替えですから、直ちに損金算入することは認められません。
立替えに係る解決金は、その本来負担すべき者に対して支払を請求すべきですが、これを断念した場合には、その負担を免れた者に対する給与(役員であれば役員給与(臨時的給与))として取り扱われるものと理解されます。
退職金債務と立替えに係る解決金とを相殺することについては、会計及び税務上は問題ないものと考えられますが、労働基準法においては、従業員の債務と賃金とを相殺、控除することは原則として認められていない点に注意を要します。
【解説】「税研」Vol.31-No.1(181号) 2015.5 71頁~72頁 参照
参考条文等
法人税基本通達 9-7-16(2)
法人税基本通達 9-7-17
労働基準法 第17条、第24条
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