相談事例Q&A

利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする剰余金の配当 〔税研より〕

[令和2年11月1日現在法令等]

Q. 質問

 当社の100%子会社である内国法人甲社は発行済株式の1株につき20円を剰余金の配当として支払うことを計画しています。配当原資となる利益剰余金は15円相当額しかないため、残額の5円相当額は資本剰余金を取り崩します。本件剰余金の配当は、(1)利益剰余金を原資とする配当、(2)資本剰余金を原資とする配当を別議案としますが、いずれが先に行われたとみるかによって資本配当に係るプロラタ(Pro Rata、按分)計算の算定上、「みなし配当の金額」および「株式又は出資に対応する部分の金額」が異なる結果となり、課税関係に影響します。なお、効力発生日は同日とすることを考えています。 

 甲社は事業上の理由により、適法かつ適正な条件に基づく剰余金の配当の実施を検討しているのですが、最近の判決(東京地判平成29年12月6日(平成27年(行ウ)第514号)(控訴審東京高判令和元年5月29日(平成29年(行コ)第388号)))では、これまでとは異なる判断が示されたと聞き思料しているところです。税務上の取扱いや留意すべき点についてご教示ください。

A. 回答

[1]資本剰余金と利益剰余金の双方を同時に減少して配当を行ったものとされ、その全体が「資本配当(資本の払戻し)」になります。

[2]この場合、プロラタ計算(法令23①四)により、「みなし配当部分」と「株式又は出資に対応する部分」に区分することになりますが、東京地裁では「株式又は出資に対応する部分」の中に利益配当が含まれる結果となる時には、プロラタ計算を定める政令は法人税法24条1項4号の委任の範囲を超える違法・無効なものであると判示しています。東京高裁も一審と同様の判断を示し、国側の控訴を棄却しました。

【解説】「税研」Vol.35-No.3(207号) 2019.9 67頁~70頁 参照

参考条文等

法人税法施行令 第23条 第1項 第4号 法人税法 第24条 第1項 第4号


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