関連会社が発行する社債の金利と市場金利 〔税研より〕
[令和3年6月1日現在法令等]
Q. 質問
関連会社に対して資金を貸し付ける場合の利率についてご教示ください。
税務上、無利息貸付け又は低利による貸付けを行った場合には、相手方に対して通常の利息との差額相当額に係る経済的利益を供与したものとして取り扱われるものと理解しております。
そのため、当社としても、資金の貸付けに際しての利率の設定には神経を使っておりますが、ご存知のとおり、現在、市場金利は極めて低い水準となっており、これを反映して債券の利回りなども1%にも満たないものが珍しくありません。
資金の貸付けと金融商品である社債の発行・引受けとは似て非なるものと思われますので、債券の利回りが低いからといって貸付けの利率をこれらと同水準としてもよいということにはならないとは理解しておりますが、現在、資金の貸付けにおいて、どの程度の利率とすると、低利による貸付けとされることになるのでしょうか。
また、当社が関連会社に資金融通を行うに際して、資金の貸付けではなく、関連会社に社債を発行させ、当社がこれを引き受けるとした場合には、資金貸付けの場合における低利貸付けに係る経済的利益の供与の問題は生じないものと考えてもよろしいでしょうか。
A. 回答
[1]一般に、利率の設定は、市場金利の動向だけでなく、その貸付け先や債券の発行体の返済能力などを考慮したところで決定されるので、一律に何%といった水準を示すことは困難です。
[2]したがって、他に、1%未満の利回りで社債が発行される例が存在するとしても、[1]と同様に個々の発行体の財務や経営の状況に基づいて、その適正水準を判断すべきであり、本来は、資金提供の形態が貸付けであるか、社債の引受けであるかによって、その水準が異なるものではないと考えます。
【解説】「税研」Vol.35-No.5(209号) 2020.1 71頁~72頁 参照
参考条文等
【参考条文等】 法人税法第37条第2項 、第7項、第8項 法人税法基本通達 9-4-2
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