相談事例Q&A

(続)利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする剰余金の配当〔税研より〕

[令和3年7月1日現在法令等]

Q. 質問

 以前、この欄でお世話になった者です(「利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする剰余金の配当」『税研』207号、2019年9月)。ご助言いただいたことを踏まえ、いまひとつ混合配当とプロラタ計算についてお尋ねしたいことがあります。

 これまで混合配当はその全体を資本配当(資本の払戻し)としてみなし配当の対象にしていましたが、東京高判令和元年5月29日(平成29年(行コ)第388号)(1)では、混合配当に係る原則処理(利益配当と資本配当という別個独立した配当と認識)と例外処理(利益配当と資本配当のいずれが先に行われたとみるかによって課税関係に差異が生じる場合には、全体を資本配当と認識)が示されました。この場合、配当を行う法人の利益積立金額と資本金等の額の状況によっていくつかの組み合わせが想定し得るようですが、原則・例外処理の対象になるのは、それぞれどのようなケースでしょうか。具体的に説明していただけると助かります。

 また、東京高裁では、混合配当が資本配当と認識され、プロラタ計算により資本の払戻し部分の中に利益配当が含まれる結果となる場合、プロラタ計算を定める政令(法令23①三(現行:四))は法人税法24条1項3号(現行:4号)の委任の範囲を超える違法なものであり、無効となる旨判断しています。こちらについても、どのようなケースがそれに該当するのか、同様にご教示ください。

A. 回答

[1]原則処理が適用されるのは、利益積立金額と資本金等の額のいずれかがマイナスのケースです。双方がプラスのケースのみ例外処理の対象になります。

[2]プロラタ計算を定める政令が法人税法の委任の範囲を超える違法・無効なものとなるのは、利益積立金額がマイナスで資本金等の額がプラスのケースです。

【解説】「税研」Vol.36-No.1(211号) 2020.5 77頁~81頁 参照

参考条文等

【参考条文等】   法人税法施行令 第23条 第1項 第4号  法人税法 第24条 第1項 第4号


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