相続人全員が相続放棄した場合の準確定申告
[平成27年4月1日現在法令等]
Q. 質問
相続人全員が相続放棄した場合、誰が準確定申告をしなければならないのですか。それとも相続財産法人の残余財産はいずれ国庫に帰属することから申告しなくてもよいのですか。
A. 回答
居住者が年の中途で死亡した場合において、その者が死亡した年分の確定申告書を提出しなければならない場合には、その相続人が相続の開始があったことを知った翌日から4か月を経過した日の前日までに申告書を提出しなければなりません。
民法の規定により、相続放棄者は初めから相続人ではなかったものとみなされますので、放棄者の地位を承継することはありません。
ただし、所得税法上、相続人には包括受遺者も含むものとされているため、たとえ相続人がいない場合でも包括受遺者がいれば、その者が確定申告書を提出することとなります。
民法上の相続人も包括受遺者もいない場合には、相続財産は、「相続財産法人」となり、選任された相続財産法人の管理人が相続財産の管理を行いますが、この相続財産法人に関しては所得税法上なんら規定がありません。
しかし、国税通則法上、相続財産法人は被相続人の国税の納税義務を承継する規定があることから、所得税についても納付義務があります。したがって、納付義務の履行については、申告納税方式を原則とする所得税について、相続財産法人が準確定申告する義務もあることになります。その場合の申告期限については、管理人が選任されなければ確定申告書を提出することができないことから、管理人が確定した日(家庭裁判所から管理人に通知された日)の翌日から4か月を経過した日の前日までに行うこととなると思われます。
なお、相続財産法人の残余財産は国庫に帰属するとしても、残余財産は特別縁故者に対する相続財産の分与の規定により処分されなかった相続財産をいいますから、国庫への帰属よりも国税の納税義務の履行が先順位となります。
参考条文等
所得税法 第125条第1項、第2条第2項
民法 第939条、第951条、第952条、第958条の3、第959条
国税通則法 第5条第1項、第15条
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