仕入税額控除の計上時期 未成工事支出金と出来高検収書
[平成30年9月1日現在法令等]
Q. 質問
当社は、電気工事業を営む元請業者です。下請業者へ発注した外注費について、出来高検収書を作成し当該検収に基づき外注費の支払いを行うと共に、当該経費については、会計上未成工事支出金に計上しています。この場合、消費税法上の仕入税額控除はどのように行うことになりますか。
A. 回答
企業会計上、未成工事支出金に計上した外注費等は、工事の完成引渡時に完成工事原価に振替えることとなり、法人税法上は、確定決算主義に基づき、当該引渡時に損金計上することを原則としています。これに対して消費税法は、このような考え方はしておらず、消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)により、国内において課税仕入れを行った場合は、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の仕入税額控除とする。すなわち、未成工事支出金に計上した外注費等であっても、下請先との個々の契約ごとに課税仕入れを認識することを原則としています。
また、法人税法の工事進行基準や部分完成基準と同様に、消費税法においても、請負による譲渡等の時期の特例として、工事進行基準や部分完成基準が存在し、さらに、課税仕入れ等の時期の特例として、出来高検収書に基づく請負金額の支払時における計上、継続適用を条件として未成工事支出金の完成工事原価への振替時における計上等が容認されており、いずれの計上基準を採用するかは法人の任意となります。
なお、特例の選択に当たっては、当該方法を選択した合理性の確認も当然のことですが、文理上の手続き要件等は慎重に取扱われるようご留意ください。
参考条文等
消費税法 第2条第1項第12号、第30条
消費税法基本通達 9-1-5、9-1-8、11-3-1、11-3-5、11-6-6
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