相談事例Q&A

法人に対する遺贈と遺留分の減殺請求

[平成27年4月1日現在法令等]

Q. 質問

 公正証書有遺言により、甲の財産について、次の遺贈がありました。(包括遺贈) 甲の相続人は乙(甲の妻)のみです。(法定相続分は1分の1、遺留分は2分の1) 甲の相続財産は、時価4億円(相続税評価額3億2,000万円)の土地のみです。 受遺者  乙(甲の妻)    土地4分の1 〃   A会社(同族会社)   ?土地4分の3

その後、乙(甲の妻)より、A会社に遺留分の減殺請求がありました。 これらはどのような取扱いとなりますか。

A. 回答

1.甲の所得税(準確定申告) 土地3億円のみなし譲渡課税が生じます。A会社と乙の連名で所得税の申告書を提出します。所得税はA会社4分の3、乙4分の1の割合で納税義務を承継します。 2.乙の相続税 土地4分の1(相続税評価額8,000万円)を財産、みなし譲渡の所得税4分の1を債務として、相続税の申告をします。 3.A会社の法人税 A会社は相続税の申告は必要ありませんが、土地の受贈益時価3億円を益金に算入します。また、みなし譲渡の所得税4分の3を損金に算入します。 A会社の株主に、甲から経済的利益の贈与があったとして、贈与税が課税される場合があります。 4.遺留分の減殺請求で、土地または現金を弁償した場合 (1) 土地の4分の1を返還した場合 (イ) 土地の4分の1について、A会社に遺贈がなかったと考え、A会社と乙はみなし譲渡 の減額を求める更正の請求を行います。 (ロ) 乙は、土地4分の1(相続税評価額8,000万円)の相続税の修正申告を行います。 (ハ) A会社は、土地を返還した日の属する事業年度で土地の時価1億円を損金に算入しま す。また、還付された所得税は益金に算入します。 (2) 現金1億円を返還した場合 (イ) 土地の移転は変わりませんので、みなし譲渡に関する更正の請求は行いません。 (ロ) 乙は、1億円を、土地の相続税評価である8,000万円(代償財産)を取得した として、相続税の修正申告を行います。 (ハ) A会社は、返還をした日の属する事業年度で1億円を損金に算入します。

参考条文等

所得税法 第2条、第59条第1項第1号、第124条、第125条 国税通則法 第5条 相続税法 第9条 民法 第964条、第986条、第990条 最高裁一小 平成4.11.16判


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