相談事例Q&A

債務控除 遺言による債務の引継ぎ

[平成30年1月1日現在法令等]

Q. 質問

 遺言により、長男が、被相続人である父の全遺産および債務である銀行借入金の全額を引き継ぐことになりました。相続税法上どのような取扱いとなりますか。なお、法定相続人は、兄の他母と妹である私の3人であり、当該債務の引継ぎについて銀行は同意しています。

A. 回答

 相続税の計算においては、長男1人が遺産および債務の全額を承継したものとして取り扱われます。  可分債権である預貯金が遺産分割の対象となる旨の最高裁大法廷(平成28年12月19日)の判断を受け、実定法である現行民法の今後の改正動向が気になるところです。  さて、銀行借入金などの可分債務は相続開始時に当然に各相続人がその相続分に応じて債務を承継することになります。債務の承継について、共同相続人間の分割協議または遺言により法定相続分と異なる分割指定等がある場合においても、債権者は各相続人に対し法定相続分に従った債務の履行を求めることができます。しかし、銀行の同意があるということは、免責的債務引受契約または重畳的債務引受契約がなされており、当該長男1人の債務承継は民法上も有効であると考えられます。  したがって、当該債務は、相続税法第13条の規定上「その者の負担に属する部分の金額」に該当し債務控除の対象となると考えます。  なお、この場合、長男以外の相続人に対して相続税法8条によるみなし贈与の規定は適用されないものと考えます。

参考条文等

相続税法 第8条、第13条 民法 第427条、第898条、第899条 最高裁判決昭和34年6月19日 印紙税法基本通達別表第一 第15号文書の2


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