一旦選択した社会保険診療報酬の課税の特例を通常の収支計算へ変更することの可否 〔税研より〕
[平成27年4月1日現在法令等]
Q. 質問
当法人は医療法人ですが、前事業年度は社会保険診療報酬の課税の特例を適用した所得計算をして申告しました。ところが、この程、この特例の適用を受けるよりも通常の収支計算によった方が有利であったことが判明しました。
そこで、更正の請求をしたいと考えていますが、いかがでしょうか。
なお、税務署から指摘を受けたわけではありませんが、実は、当法人の経理担当の不注意から、多少、修正申告で増額すべきものがあります。そこで、自発的に修正申告をし、その申告書において、(1)その増差税額と(2)上記の社会保険診療報酬の課税の特例による税額と通常の収支計算による税額との差額とを相殺をして修正申告書を提出することはどうかと考えていますが、併せてご教示下さい。
A. 回答
貴法人は、前事業年度に係る法人税の確定申告において、社会保険診療報酬の特例を選択して所得計算をして申告したのであり、これは、国税通則法第23条第1項第1号に規定する当該申告書に記載した課税標準等又は税額等が「国税に関する法律の規定に従っていなかった」わけでも「当該計算に誤りがあった」わけでもないので、原則として、更正の請求は認められないと解されています。
なお、法律行為の要素に錯誤がある意思表示は無効ですが、本件の場合は、動機の錯誤であり、法律行為の要素に錯誤があったことに当たらないと考えられています。
もっとも、他に修正申告をすべき増差税額があり、そして、概算経費選択の意思表示の誤りが本件確定申告書ないしはその添付書類から明らかである場合には、その増差税額と差引きができる範囲内に限り、社会保険診療報酬の特例から通常の収支計算への選択替えも認められると考えられています。
【解説】「税研」Vol.25‐No.4(149号) 2010.1 51~54頁 参照
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