相談事例Q&A

不動産持分について減殺請求者がその遺留分を超える割合で取得する旨の合意を基因とする更正の請求 〔税研より〕

[平成27年4月1日現在法令等]

Q. 質問

 私の父は平成20年1月に死亡し、法定相続人は、私と私の兄弟の合計6人です。ところが、亡父は、遺言公正証書を作成しており、そこには貸家・貸宅地を含む遺産の全部を長男である私に相続させる旨が記載されていたことが判明しました。 相続開始直後にこの事実を他の兄弟に知らせたところ、兄弟5人は、直ちに民法第1031条に基づく減殺請求をしましたが、その後、話合いの結果、遺留分である各人12分の1と法定相続分である6分の1との中間をとって、他の兄弟は、各人24分の3とし、私が残りの24分の9を相続することとして、この程「遺留分減殺合意書」を作成する運びに至りました。  その間、相続財産に係る貸家・貸宅地からの不動産収入は、平成20年分及び21年分についてはその全額を私が取得していたので、全額が私の収入金額であるとして不動産所得に係る所得税確定申告書を提出しています。なお、本件不動産所得は、事業には至らない程度のものです。そこで、私の平成20年分及び21年分に係る不動産所得について、上記合意の日から2月内に遺留分減殺請求を理由として後発的更正の請求をしたいと考えています。当然、他の兄弟に帰属することとなる不動産収入については、上記「遺留分減殺合意書」に係る合意により私の不動産所得に係る所得税が減額されると考えますが、いかがでしようか。なお、相続税については、未分割として申告し、他の兄弟はそれぞれ法定相続分に対応する相続税を負担していますので、これは、相続税の申告とは関係なく、別途、精算することとしています。

A. 回答

 本件「遺留分減殺合意書」の効果については、遺留分減殺請求に係る部分とそれを超える部分とに分けて考える必要があります。結論としては、遺留分減殺請求に係る部分、すなわち、他の兄弟各人が取得することとなる24分の3のうち遺留分減殺請求により取得することとなる24分の2に相当する部分については後発的更正の請求事由に該当し、あなたの不動産所得についての減額が認められますが、これを超える部分、すなわち、各人24分の1に相当する部分については後発的更正の請求事由に該当せず、減額は認められないこととなると思われます。  もっとも、本件合意書作成後の不動産所得については、当然、他の兄弟は各人24分の3に相当する部分について、あなたは24分の9に相当する部分について申告すればよいこととなります。 【解説】「税研」Vol.26‐No.4(155号) 2011.1 62~64頁 参照

参考条文等

民法 第1031条 国税通則法 第23条 所得税法 第152条 所得税法施行令 第274条


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