反面調査と税務代理権限証書
[平成30年5月1日現在法令等]
Q. 質問
私(税理士)は、個人事業主から依頼を受けて、所得税確定申告書の作成をしました。この度、当該事業主と取引関係のある法人に税務調査があったことに関連して、反面調査の依頼がありました。しかし、当該事業主は、できれば反面調査には応じたくない旨希望しています。この場合、法令上、反面調査を拒否することはできるでしょうか。なお、当該所得税申告書の作成については、顧問契約等がないため税務代理権限証書の提出はしていません。
A. 回答
反面調査を拒否した場合は、法令上罰則が科されます。また、税務代理権限証書の提出がない場合は、原則的には調査立合をすることはできません。
反面調査についての法的根拠は、国税庁等の調査に係る質問検査権の対象として、例えば法人税については、国税通則法74条の2①二ロの、法人に対し金銭の支払や物品の譲渡をする義務がある者又は金銭の支払や物品の譲渡を受ける権利がある者、という規定が該当します。したがって、当該反面調査を拒んだ場合は、国税通則法第128条の罰則の対象となります。
調査立合については、税理士法第2条第1項第1号税務代理の範囲として、税務官公署の調査や処分に対してする主張陳述につき代理代行することが含まれ、税理士法第30条には、税務代理をする場合は、税務代理権限証書を提出しなければならないと規定されています。事後提出でも問題ありませんので、調査立合に際しては、税務代理権限証書の提出が必要です。
なお、税理士法第34条に調査通知の対象として、租税の課税標準等を記載した申告書を提出した者について当該申告書に係る租税に関し、と規定しているため、反面調査の事前通知は法令上規定がありませんのでご留意ください。
参考条文等
国税通則法 第74条の2、第128条
税理士法 第2条第1項第1号、第30条、第34条
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